「ファン歴」というやわらかなベッドあるいは甘い蜜あるいは分厚い鎧

ひと口にファンと言っても、スターさんに対して抱く気持は皆それぞれだし。スターさんに出会ってから今日まで、誰もが同じ道のりを辿ってファンになっているわけじゃないし。スターさんを思う温度も違えば、愛し方も違う。

自分より後からスターさんに出会ったコが、自分が前に感じたことと同じことを今同じように感じているように見えたとしても、そのコにとっては未知の感動なわけだし。同じように見えていてもじつは違うことを感じているのかもしれないし。

そのコが、自分が感じてきたことと異なることを感じ、語っていたとしても、それはそのコなりの感じ方なわけだし。

そのコが自分には気づかなかったまったく新しい視点で何かを語っていたとしても、やっぱりそれはそのコなりの視点なわけだし。

だから、それらはちゃんと受け止めなければいけないし、受け入れなければいけないと思う。尊重しなければいけないと思う。

そういうときに「ファン歴が浅いのね〜」みたいなとらえ方をして「私も昔はそうだったわ〜」とか「あなたもいつかわかるわよ〜」とかって、優越感に浸るのって、結構快感なんだと思うのね。その点ファン心理って恋愛と同じだと思う。元カレの彼女に対して「あなたは知らないでしょうけど〜」みたいなこと言っちゃうのと同じだよね.....て思う。

なんでだろうな........大好きなスターさんは自分だけのものであってほしいから、新入りさんに対して嫉妬しちゃうのかな?警戒感をもっちゃうのかな?縄張りを侵される感じ?

だからたぶん、そういうときに「先輩風」ふかすことで、自分の中で相手より優位に立とうとするんだろうな......それって「自分が安心できる場所に逃げ込む」って感じなのかな。そうやって相手の存在を低めるっていうか小さくすることで、自分の心のバランスを取ろうとするのかな......そういう意味で「ファン歴」って、自分の心を包んでくれる、あたたかなベッドよね.....そもそも「優越感」ってものは甘美な罠。甘い蜜だと思うし。

あ〜それとも、自分の心を守るとともに大きく見せかけて飾り立てる、分厚い鎧ともいえるかもしれない......

そういうものに逃げ込んだり、甘えたりしないようにしなくちゃね。どうしたって「ファン歴」に違いがあるのは致し方ないこと。だけど、わざわざそういうものを持ち出して、壁を作る必要はないものね。みんな、それぞれに受け入れあって、一緒に同じスターさんを応援していけばいいことだものね。

でも、不用意なというか、配慮の足りない一言で、相手の心を深く傷つけてしまうことがあるのは、どんな場面も同じよね。

私自身も、自分のご贔屓さんのトップお披露目のときに。先輩スターさんのファンの方がとても喜んでくださるので、一緒に喜んでいたら「小さいとき(下級生のとき)から見てきた私がどんなにうれしいかなんて、あなたにはわからないわよ」って言われてすごいショックで。それはきっと、まだしばらくは忘れられないと思う。少なくとも自分は、相手のコに、そういう思いをさせるようなことはしないようにしようと誓ったんだけど。

なにしろあたたかなベッドの居心地はいいからね......気をつけないと(苦笑)